「Honesty is always the best policy」
16年前、私が初めて市長に就任した時、学生時代の友人から送られた言葉です。「とことん正直であれ」と訳されていました。
「正直であるとは、人間にとって最高の徳目であり、突き詰めれば嘘をつかないということ。生きていれば、特に窮地に陥った時には、ついつい嘘をついてその場をしのぎたくなることがある。しかし、どんな時でも決してその場から逃げずにとことん正直を貫く。『政治家とはこんなもん』と、うそぶかない。その姿勢を貫くことが本当に強い人間に導いてくれるはず」手紙にはそう書かれていました。私が16年間それを貫けたかどうかは別にして、この言葉は常に心の片隅に置いてきたつもりです。
今、国政では裏金問題が大きく取り沙汰されています。主権在民の基本的な感覚が薄れ、血税の重さを忘れ、長年の慣習を漫然と引き継ぎ繰り返すことで罪の意識を鈍らせた結果です。この問題を論じるとき、「政治はカネが掛かる。過去からの常識で政治とはこんなモン」と冷めた評価をする人がいます。そんな考えに流されることなく、長い歴史の中で歪められた常識を正し、徹底的にうみを出さなければなりません。新しく生まれ変わるチャンスです。今回の件は長年にわたり、マスコミや野党が取り上げることなく見過ごされてきました。当事者はもとより、チェックする側にも、スキャンダラスな事案を優先的に安易に取り上げ、本来議論すべきテーマや本質に目を向けない鈍った感覚が支配していたと思います。また、国民もその動きを許容してきたことには大きな責任があります。与党も野党もマスコミも有権者も、今までの常識やシステム、価値観を見つめ直し、一時的な混乱も覚悟の上で、徹底して政治本来の姿を取り戻すことが求められていると強く感じます。今まさに「Honesty is always the best policy」の精神に立ち返るときなのです。